太陽光発電の導入を検討される中で、「余剰売電」という言葉や、年々変動する「売電単価」について耳にする機会が増えたのではないでしょうか。太陽光発電の仕組みを正しく理解しないまま導入してしまうと、期待した効果が得られず、失敗や後悔につながる可能性も考えられます。ご家庭の電気代を賢く節約するためには、発電した電気をどのように活用するかが鍵となります。
この記事では、太陽光発電における余剰買取の仕組みから、気になる売電単価の最新情報、そして今後の動向について、専門的な知識がない方にも分かりやすく解説します。売電制度の基礎を学び、あなたの暮らしに最適な太陽光発電の活用法を見つけていきましょう。
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太陽光発電の売電制度とは？
太陽光発電の売電制度とは、ご家庭や事業所で発電した電気のうち、使い切れなかった分を電力会社が買い取ってくれる仕組みのことです。この制度の根幹にあるのが、「FIT制度（固定価格買取制度）」と呼ばれる国の制度になります。
FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を促進する目的で始まりました。太陽光発電などのクリーンなエネルギーで発電した電気を、国が定めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務付けています。例えば、2024年度に住宅用の太陽光発電を導入した場合、その後10年間は1kWhあたり16円という決められた単価で電気を売ることが可能です。
この買取にかかる費用は、実は電気を利用する国民全体で分担しています。毎月の電気料金の明細に記載されている「再生可能エネルギー発電促進賦課金（再エネ賦課金）」がそれに当たります。この再エネ賦課金があるおかげで、電力会社は安定して再生可能エネルギーを買い取ることができるのです。
FIT制度によって、太陽光発電を設置する側は、導入後の収支計画が立てやすくなるという大きなメリットがあります。
全量売電と余剰売電の違い
太陽光発電の売電方法には、「全量売電」と「余剰売電」という2つの方式が存在します。どちらの方式が適用されるかは、主に設置する太陽光発電システムの容量によって決まります。
全量売電
全量売電は、太陽光パネルで発電した電気をすべて電力会社に売る方法です。発電した電気を自家消費せず、すべて売電収入に充てるため、主に大規模な土地や工場の屋根などに設置される50kW以上の産業用太陽光発電が対象となります。収益性を重視した事業向けの売電方式と言えます。
余剰売電
一方、余剰売電は、発電した電気をまずご家庭の電力として使用し、使い切れずに余った分だけを電力会社に売る方法です。10kW未満の住宅用太陽光発電は、こちらの余剰売電が適用されます。
日中に発電した電気で家庭の電化製品を動かすことで、電力会社から電気を買う量を減らし、電気代を直接的に削減できます。そして、それでも余った電気を売ることで、副次的な収入を得ることが可能です。このため、家庭における光熱費削減に大きく貢献する方式と考えられます。
| 項目 | 全量売電 | 余剰売電 |
| 対象 | 主に50kW以上の産業用 | 主に10kW未満の住宅用 |
| 電気の使い方 | 発電した電気をすべて売電 | 自家消費し、余った分を売電 |
| 主な目的 | 売電による収益の確保 | 電気代の削減と余剰分の売電 |
| 買取期間 (2024年度) | 20年 | 10年 |
売電価格は年々下がっている
FIT制度が始まった当初、売電価格は非常に高く設定されていました。しかし、その価格は年々下落傾向にあります。
この背景には、太陽光発電システムの普及と技術革新があります。制度開始当初は高価だった太陽光パネルや関連機器の価格が、生産量の増加や技術の進歩によって大幅に下がりました。FIT制度における売電価格は、設置者がおよそ10年で初期投資を回収できるように考慮して設定されています。そのため、システム価格の低下に合わせて、売電価格も引き下げられているのです。
実際に、住宅用（10kW未満）の売電価格の推移を見てみましょう。
| 年度 | 売電価格（円/kWh） |
| 2012年度 | 42円 |
| 2015年度 | 35円 |
| 2018年度 | 28円 |
| 2021年度 | 19円 |
| 2022年度 | 17円 |
| 2023年度 | 16円 |
| 2024年度 | 16円 |
| 2025年度 | 15円 |
このように見ると、「早く始めた方が得だったのでは？」と感じるかもしれません。しかし、前述の通り、売電価格の低下はシステム価格の低下と連動しています。したがって、売電価格が下がった現在でも、導入による経済的なメリットが失われたわけではありません。むしろ、以前よりも少ない初期投資で始められるようになったと考えることができます。
今どきの太陽光発電は自家消費がメイン
売電価格が下がる一方で、電力会社から購入する電気の料金は、燃料費の調整や再エネ賦課金の影響で上昇傾向にあります。この状況が、「売電」よりも「自家消費」の価値を高める大きな要因となっています。
具体的に言うと、売電単価が1kWhあたり16円（2024年度）であるのに対し、電力会社から購入する電気の単価は時間帯やプランにもよりますが、30円以上になることも珍しくありません。この場合、1kWhの電気を16円で売るよりも、30円で買わずに済ませる方が、経済的なメリットは大きくなります。
このような、売電価格と買電価格が逆転する現象は「グリッドパリティ」と呼ばれており、太陽光発電の活用方法が「売って稼ぐ」から「作って賢く使う」へとシフトしていることを示しています。
この自家消費のメリットを最大化するために注目されているのが、家庭用蓄電池です。太陽光発電だけでは、発電できない夜間や雨の日は電気を買う必要があります。しかし、蓄電池を併設すれば、日中に発電して余った電気を貯めておき、夜間などに使うことができます。これにより、電力会社から電気を買う量を極力減らし、電気の自給自足に近い暮らしを実現できます。
また、蓄電池は災害などで停電が発生した際の非常用電源としても機能するため、ご家族の安心にもつながります。
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よくある質問
売電期間の10年が終わったら、電気はどうなりますか？
10年間のFIT制度による固定価格での買取期間が終了することを通称「卒FIT」と呼びます。卒FIT後は、売電ができなくなるわけではありません。多くの電力会社が卒FIT向けの買取プランを用意しており、契約を続けることで売電は可能です。
ただし、買取価格はFIT期間中よりも大幅に下がり、1kWhあたり7円〜9円程度になるのが一般的です。このため、卒FITを機に蓄電池を導入し、売電から自家消費へ切り替えるご家庭が非常に増えています。
「初期費用0円」とのことですが、本当に追加費用はかかりませんか？
はい、システムの設置にかかる初期費用はいただきません。これは、リース契約やPPAモデルといった仕組みを活用しているためです。月々のサービス利用料は発生しますが、光熱費の削減額が利用料を上回るようにプランを設計するため、実質的なご負担なくご利用いただけます。
詳しい契約内容については、シミュレーションのご提案の際に丁寧に説明いたしますので、ご安心ください。
設置後のメンテナンスは必要ですか？
太陽光パネルは、基本的に長期間メンテナンスフリーで使えるように設計されていますが、最高の発電効率を維持するためには定期的な点検をおすすめします。パネルの汚れや、パワーコンディショナーなどの周辺機器に不具合が発生すると、発電量が低下する原因になります。
弊社では、導入後のアフターサポートもご用意しておりますので、ご不安な点があればいつでもご相談いただけます。
まとめ：売電制度を理解した上で太陽光パネルを導入しよう
この記事では、太陽光発電の余剰買取制度と売電単価について解説しました。
かつては高い売電価格が魅力だった太陽光発電ですが、現在はその役割が変化しています。売電単価が下がり、電気料金が上昇している今、太陽光発電のメリットを最大限に引き出す鍵は「自家消費」にあります。日中に発電したクリーンな電気をご家庭で使い、電気代を節約することが、最も賢い活用法と言えます。
さらに、蓄電池を組み合わせることで、電気の自給自足を目指すことも可能です。これにより、日々の光熱費を大幅に削減できるだけでなく、災害時の備えとしても大きな安心感を得られます。
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