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家庭用太陽光は必要か?メリット・デメリットを解説

電気代の高騰や環境問題への関心の高まりから、家庭用太陽光発電に注目が集まっています。しかし、導入には大きな費用がかかるため、「本当に自宅に必要なのか」と、メリットとデメリットを慎重に比較検討されているのではないでしょうか。

この記事では、太陽光発電の導入で失敗や後悔をしないために、知っておくべき基本的な仕組みから、具体的なメリット、そして見過ごされがちなデメリットや注意点まで、専門的な視点から網羅的に解説します。あなたの家庭にとって太陽光発電が本当に必要かを判断するための、客観的な情報を提供します。

ご自宅に太陽光発電の設置を検討している方へ
  • 電気代を即時低減(※)
  • 耐用年数は25年
  • 蓄電池をセットすることで災害時も安心
  • 地域によっては補助金も利用可能

(※)条件によっては電気代が下がらないこともあります

目次

太陽光発電の基本と家庭用での役割

太陽光発電システムの導入を検討する第一歩として、まずはその基本的な仕組みと、家庭でどのように役立つのかを理解することが大切です。ここでは、発電のメカニズムから、よく比較される産業用との違いまで、基礎的な知識を分かりやすく解説します。

太陽光発電の仕組みをわかりやすく解説

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムです。屋根などに設置された太陽光パネル(太陽電池モジュール)が、光起電力効果という原理を利用して直流の電気を作り出します。

しかし、家庭で使われている電化製品は交流の電気で動くため、発電した直流の電気をそのままでは使えません。そこで、パワーコンディショナーという機器が、直流電気を家庭で利用可能な交流電気に変換します。

変換された電気は、まず家庭内の照明や家電製品で消費されます。日中の発電量が消費量を上回り、電気が余った場合は、電力会社に売電することも可能です。このように、太陽光エネルギーを無駄なく活用するのが、太陽光発電システムの基本的な仕組みとなります。

家庭用と産業用との違いは?

太陽光発電は、その発電容量によって「家庭用」と「産業用」に大別されます。両者には、目的や制度の面で明確な違いがあるため、その特性を理解しておくことが有益です。

一般的に、発電容量が10kW未満のものを家庭用(住宅用)、10kW以上のものを産業用と区分します。家庭用の主な目的は、発電した電気を自宅で消費し、電気代を削減することにあります。一方、産業用は発電した電気を売電して収益を得る、いわゆる投資目的で設置されるケースが多く見られます。

この目的の違いは、国の固定価格買取制度(FIT制度)にも反映されています。以下の表で、主な違いを確認してみましょう。

項目家庭用太陽光発電産業用太陽光発電
発電容量10kW未満10kW以上
主な目的自家消費による電気代削減売電による収益確保
FIT適用期間10年間20年間(一部例外あり)
余剰電力の扱い余った電力のみ売電(余剰買取)全量を売電可能(全量買取)※

※産業用でも余剰買取を選択することは可能です。

このように、家庭用は生活に密着したエネルギー対策、産業用は事業としての側面が強いという違いがあります。

太陽光発電のメリット

太陽光発電を導入することで、私たちの生活には多くの恩恵がもたらされます。経済的なメリットから、万が一の備え、そして環境への配慮まで、導入を後押しする主な4つの利点を見ていきましょう。

太陽光発電のメリット
  • 電気代を大幅に削減できる可能性
  • 売電による収入も期待できる
  • 停電時や災害時の備えになる
  • 環境保全への貢献

電気代を大幅に削減できる可能性

最大のメリットは、毎月の電気代を削減できる点にあります。太陽光発電で作り出した電気は、電力会社から購入することなく自宅で自由に使えるため、その分の電気代がかかりません。

特に、日中に在宅している時間が長いご家庭や、日中の電気使用量が多いライフスタイルの場合、自家消費によって電気代の削減効果はより大きくなります。近年、電気料金は上昇傾向にあるため、電力会社の料金変動の影響を受けにくくなる点は、家計にとって大きな安心材料と考えられます。

削減できる金額は、システムの容量や天候、各家庭の電気使用量によって変動しますが、例えば3人から4人家族の平均的な家庭であれば、年間で数万円単位の削減が期待できるケースも少なくありません。

売電による収入も期待できる

自家消費してもなお電力が余った場合、その余剰電力を電力会社に売ることができます。これは固定価格買取制度(FIT)によって国が保証するもので、導入後10年間は定められた単価で買い取ってもらえます。

ただし、この売電単価は年々低下しているのが現状です。制度開始当初に比べて価格は大幅に下がっており、「売電で儲ける」という考え方は現実的ではなくなりました。

むしろ、現在の賢い活用法は、売電価格よりも高い単価で購入している電気を、できるだけ自家発電でまかなうことです。つまり、売電収入はあくまで副次的なメリットと捉え、自家消費を最大化することに重点を置くのが、経済的な効果を高める鍵となります。

停電時や災害時の備えになる

地震や台風といった自然災害による大規模な停電が発生した際にも、電気が使えるという点は非常に大きなメリットです。太陽光発電システムには「自立運転モード」という機能が備わっています。

この機能を使えば、停電時であっても、太陽が出ている昼間であれば発電した電気を利用することが可能です。パワーコンディショナーに設置された専用コンセントから、スマートフォンやラジオの充電、最低限の照明など、情報収集や安全確保に必要な電力を得られます。

通常の生活と全く同じように電気が使えるわけではありませんが、災害という非常事態において、最低限のライフラインを自前で確保できる安心感は、何物にも代えがたい価値があると言えます。

環境保全への貢献

太陽光発電は、発電時にCO2(二酸化炭素)を排出しないクリーンなエネルギーです。化石燃料を燃やして発電する火力発電と異なり、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを発生させません。

自宅の屋根でエネルギーを生み出すことは、環境負荷の低減に直接貢献するアクションです。持続可能な社会の実現が世界的な課題となる中で、クリーンエネルギーの導入は、次世代のために環境を守るという意識の高い選択と考えられます。

経済的なメリットだけでなく、こうした環境保全への貢献を実感できることも、太陽光発電が持つ大きな魅力の一つです。

太陽光発電のデメリット

多くのメリットがある一方で、太陽光発電には導入前に必ず理解しておくべきデメリットや注意点が存在します。費用面や物理的な制約など、後悔しないために知っておくべき4つの課題を具体的に解説します。

太陽光発電のデメリット
  • 高額な初期費用と回収期間
  • 天候や季節に発電量が左右される
  • 定期的な維持管理の手間と費用
  • 設置に向いていない条件がある

高額な初期費用と回収期間

導入を検討する上で最も大きな障壁となるのが、高額な初期費用です。太陽光パネルやパワーコンディショナーといった機器本体の価格に加え、設置工事費も必要となります。

資源エネルギー庁のデータによると、2023年時点での住宅用太陽光発電システムの設置費用は、1kWあたり平均28.8万円(新築の場合)とされています。一般的な家庭で設置される3~5kWのシステムで計算すると、総額で86万円から144万円程度の費用がかかる計算です。

この初期費用を、電気代の削減額や売電収入で回収するには、一般的に10年から15年ほどかかると言われています。これは決して短い期間ではないため、長期的な視点での資金計画が不可欠です。自治体によっては補助金制度が設けられている場合もあるため、活用することで負担を軽減できる可能性があります。

天候や季節に発電量が左右される

太陽光発電は、その名の通り太陽光をエネルギー源とするため、発電量が天候や季節に大きく左右される点は避けられないデメリットです。

夜間はもちろん、曇りや雨の日は発電量が著しく低下します。また、日照時間の短い冬は、夏に比べて発電量が少なくなる傾向にあります。一方で、真夏のように気温が高くなりすぎると、太陽光パネルの特性上、発電効率がわずかに低下することもあります。

したがって、年間の発電量は常に一定ではなく、変動することを前提に収支計画を立てる必要があります。売電収入を過度に期待すると、思ったような成果が得られず、資金計画に狂いが生じる可能性もあるため注意が求められます。

定期的な維持管理の手間と費用

太陽光発電は「設置すれば終わり」というわけではなく、長期にわたって安定して稼働させるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。この維持管理に手間と費用がかかる点も、デメリットとして認識しておくべきです。

改正FIT法により、定期的なメンテナンスが義務付けられており、これを怠ると売電契約が解除されるリスクもあります。メンテナンスの対象は、パネルの汚れや破損のチェック、パワーコンディショナーや架台の状態確認など多岐にわたります。専門業者による点検には、1回あたり数万円の費用がかかるのが一般的です。

また、機器が故障した場合は修理費や交換費が発生します。特に、パワーコンディショナーの寿命は10~15年が目安とされており、将来的に交換費用として20~30万円程度が必要になる可能性も考慮しておきましょう。

設置に向いていない条件がある

全ての住宅が太陽光発電の設置に適しているわけではありません。屋根の形状や方角、強度、さらには周辺環境によって、設置が困難であったり、十分な発電量が見込めなかったりするケースがあります。

設置が難しい主なケース
  • 屋根の強度が不足している:古い木造住宅など、パネルや架台の重量に耐えられない場合があります。
  • 屋根の面積が狭い:十分な数のパネルを設置できず、期待する発電量を得られない可能性があります。
  • 屋根の方角や勾配が不適切:発電効率が最も良いのは南向きの屋根ですが、北向きの屋根では十分な日射量が得られません。
  • 周辺に日差しを遮るものがある:高層ビルや樹木などの影が長時間かかる場所では、発電効率が大幅に低下します。
  • 塩害地域や豪雪地帯:沿岸部では機器の腐食リスクが、豪雪地帯では積雪による発電停止や落雪のリスクが高まります。

これらの条件に当てはまる場合は、設置を見送るか、専門家と相談の上で慎重な判断が求められます。

太陽光発電の導入は本当に必要か?

ここまでメリットとデメリットを解説してきましたが、最終的に「我が家にとって太陽光発電は本当に必要なのか」という点が最大の関心事でしょう。この問いに答えるには、ご自身の家庭のライフスタイルや価値観と照らし合わせて判断することが鍵となります。

導入が向いている家庭の特徴

太陽光発電のメリットを最大限に享受できるのは、特定の条件に当てはまる家庭です。以下のような特徴を持つご家庭は、導入によって高い満足度を得られる可能性が高いと考えられます。

  • 日中の電力消費量が多い家庭:在宅勤務の方や、日中も家族が家にいる時間が長い家庭は、発電した電気を効率よく自家消費できるため、電気代の削減効果が大きくなります。
  • オール電化住宅に住んでいる家庭:給湯や調理も電気でまかなうオール電化住宅は、もともとの電気使用量が多いため、自家発電による経済的なメリットがより顕著になります。
  • 環境問題への関心が高い家庭:経済的なメリットだけでなく、クリーンエネルギーの利用を通じて環境保全に貢献したいという価値観を持つ方にとって、太陽光発電は魅力的な選択肢です。
  • 災害時の備えを重視する家庭:停電時にも最低限の電力を確保できるという安心感は、防災意識の高い方にとって大きな価値を持ちます。

これらの特徴に当てはまる数が多いほど、太陽光発電の導入に適していると言えるでしょう。

蓄電池をセットで導入するべきか

太陽光発電の効果をさらに高める設備として、家庭用蓄電池があります。蓄電池を併用することで、日中に発電して余った電気を貯めておき、夜間や天候の悪い日に使うことが可能になります。

これにより、電力会社から電気を購入する量をさらに減らし、エネルギーの自給自足率を格段に向上させることができます。また、停電時にも貯めておいた電気を使えるため、災害への備えはより万全なものとなります。

ただし、蓄電池の導入には、太陽光発電システムとは別に100万円単位の追加費用がかかるのが現状です。したがって、その費用対効果を慎重に見極める必要があります。エネルギーの自給自足や防災対策をどこまで重視するかによって、蓄電池をセットで導入するべきかの判断は変わってきます。

太陽光発電で後悔しないための注意点

高額な投資となる太陽光発電だからこそ、導入後に「こんなはずではなかった」と後悔することは避けたいものです。ここでは、満足のいく結果を得るために、契約前に押さえておくべき2つの重要な注意点を解説します。

信頼できる施工業者の選び方

太陽光発電システムの性能を最大限に引き出し、長期間安心して使い続けるためには、信頼できる施工業者を選ぶことが何よりも大切です。施工不良は、雨漏りや発電効率の低下、最悪の場合は火災といった深刻なトラブルに直結します。

業者を選ぶ際には、以下の点をチェックすることをおすすめします。

  • 複数の業者から見積もりを取る:必ず相見積もりを取り、価格だけでなく、提案内容や担当者の対応を比較検討しましょう。
  • 施工実績が豊富か:長年の経験と豊富な実績は、技術力の高さを測る一つの指標となります。
  • 各種保証が充実しているか:機器の製品保証だけでなく、工事に関する施工保証や、自然災害に対する保証の内容をしっかり確認しましょう。
  • シミュレーションの根拠が明確か:提示された発電量シミュレーションが、自宅の屋根の方角や日照条件を正確に反映したものか、その算出根拠を詳しく質問しましょう。

価格の安さだけで安易に決めず、長期的なパートナーとして信頼できる業者を慎重に選ぶ姿勢が求められます。

反射光など近隣トラブルのリスク

意外に見落としがちなのが、太陽光パネルの反射光による近隣トラブルです。屋根の角度や方角によっては、パネルに反射した太陽光が近隣の住宅の窓に差し込み、「眩しくて生活できない」といったクレームに発展するケースがあります。

一度トラブルになると解決が難しく、良好なご近所関係を損なう原因にもなりかねません。

このような事態を避けるためにも、経験豊富な業者であれば、事前に専門のソフトを使って反射光がどこにどの程度の時間影響を及ぼすかのシミュレーションを行ってくれます。契約前には、こうした近隣への配慮がなされているかを確認することが重要です。業者選びの段階で、反射光トラブルへの対策について質問してみるのも良い方法です。

まとめ:太陽光発電メリット・デメリットの理解が重要

これらの点を総合的に考えると、太陽光発電は、電気代の削減や災害時の備えなど多くのメリットを提供する一方で、高額な初期費用やメンテナンス、天候への依存といったデメリットも併せ持つことが分かります。

導入を成功させる鍵は、これらのメリットとデメリットの両方を正しく理解し、ご自身の家庭のライフスタイルや価値観、そして予算と照らし合わせて、総合的に判断することにあります。日中の電気使用量や防災への意識、そして長期的な視点での投資が可能かどうか、といった点をじっくりと検討することが求められます。

この記事で得た知識をもとに、信頼できる施工業者に相談し、ご家庭に最適なプランを見つけることが、後悔のない選択への第一歩となるでしょう。

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この記事を書いた人

元住宅設備メーカーの設計者で、住宅設備機器に20年以上携わる住宅設備製品のプロです。

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