※「ウォシュレット」はTOTO社の登録商標です。本記事の一部で使われる「ウォシュレット」は、一般的な温水洗浄便座の意味で使用しています。
中国で温水洗浄便座を取り付けたい!
今回の記事では、こんなニーズを持つ方に向けて、中国でウォシュレット(温水洗浄便座)を取り付ける際に注意すべきポイントを解説していきます。
- 日本で中国向けに作られた温水洗浄便座を買う
- 中国現地で中国向けの温水洗浄便座を買う
日本の温水洗浄便座は中国で使えるのか?
はじめに注意すべきことは、日本の温水洗浄便座をそのまま中国に持ち込んで使うことはできません。
一番の理由は、電圧です。
日本は電圧が100Vですが、中国の電圧は220Vです。
そのため、日本の温水洗浄便座をそのまま中国に持ち込んで、取り付けると電圧が合わずに故障してしまいます。
中国における温水洗浄便座の普及率
中国建築衛生陶器協会(CBCSA)によると、中国における温水洗浄便座の2019年時点の普及率は2.6%強と推定されています。
日本の普及率は2021年時点ですでに80%を超えているので(出典:レストルーム工業会)、中国ではまだまだ発展途上の商品ではあります。
しかし、人口の多い中国では、温水洗浄便座の市場規模(出荷台数ベース)では、すでに日本の450万台/年を抜いて、600万台~800万台/年まで成長しています。
そのため、日本や欧米メーカーだけでなく、現地中国のメーカーも含めて多くのメーカーが市場に参入しており、中国の大手ECサイトでは多くの種類の温水洗浄便座が販売されています。
中国で温水洗浄便座を取り付けるときに考慮すべきこと
電圧以外にも、中国ならでは点のとして注意すべきことがあります。
- 便器の横に電源コンセントがあるか確認する
- 中国の法規制に対応した温水洗浄便座にする
- 中国で要求される防水レベルの温水洗浄便座にする
- 特殊な形状の便器でないか確認する
便器の横に電源コンセントがあるか確認する
1つめは、便器の横に電源コンセントがないケースがあることです。
温水洗浄便座の普及が進んできているのに伴って、最近のマンションでは便器の横にコンセントを設置するのは当たり前になっていますが、昔のマンションにはコンセントがないケースもあります。
そのため中国で温水洗浄便座を設置する場合は、まず便器の横に電源コンセントがあるかを確かめる必要があります。
もし、電源コンセントがない場合は、大家さんを通じて電源コンセントの設置を依頼する必要があります。
中国での電源コンセントの設置工事の相場は、100~200元(約1,600~3,200円)程度です。
中国の法規制に対応した温水洗浄便座にする
中国には国家規格GBがあります。
温水洗浄便座に関連するGBには、電気製品の安全性に関する試験や基準が定められていて、販売者はGBの基準に合致したものしか販売できません。
このGBで定められた基準は、日本の公的規格で定められた基準とは異なるものが多く、日本の基準に合致したからといって、中国の基準に合致したことにならないので注意が必要です。
中国で要求される防水レベルの温水洗浄便座にする
中国における温水洗浄便座は、防水に対する要求レベルが異なります。
これもGBによって定められていますが、中国で要求されるレベルは日本よりも高くなっています。
日本では、トイレは以下のように個室に設置されているのが当たり前です。
しかし、中国では、以下の写真のようにお風呂や洗面台と一緒になっているケースがほとんどです。
そのため、温水洗浄便座が湿気にさらされたり、水しぶきがかかったりするケースが日本よりも多くなると考えられます。
こうした実情を踏まえて、中国では温水洗浄便座に対して日本よりも高い防水規格が適用されているのです。
国際的な防水規格の等級では、以下のような違いがあります。
日本の防水等級
IPX3:鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない
海外の防水等級
IPX4:あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない
実際にIPX4の試験は、以下のように実施されています。
写真の試験は、過酷な環境下での信頼性を確かめる目的での試験なので、実際の使用場面でシャワーの水をかけても問題ないことを保証するものでありません。
特殊な形状の便器でないか確認する
中国には日本と異なり、多様な形状の便器があります。
たとえば、上の写真の左側の便器は四角い形状をしていて、日本ではまず見かけないタイプです。
こうした便器の場合、多くのケースで温水洗浄便座が合わないことがあります。
温水洗浄便座を購入する前に、その便座が便器の形に合うのかを確認するようにしましょう。
中国で温水洗浄便座を取り付ける方法
中国で温水洗浄便座を取り付ける方法は、2つあります。
- 自分で取り付ける
- 取付業者にお願いする
自分で取り付ける
購入した便座を自分で取り付けることができます。
取り付け方は基本的に日本取り付ける場合と同じです。
既設の便座を外して、温水洗浄便座を取り付けて、給水ホースとコンセントを接続すれば完了です。
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大家さんに事前に連絡しておくとスムーズではありますが、経験的に日本ほど厳しく原状復帰を要求される賃貸マンションは少ないです。
また、日本だとお金(5,000円くらい)を払って取り外した便座を粗大ゴミで出する必要がありますが、中国ではゴミ捨て場にそのまま置いておけば、回収員の人がそのまま回収してくれます。
取付業者にお願いする
中国では大手ECサイトで購入した便座に取付サービスをつけているメーカーも多数あります。
取り付け費用の相場は、1回あたり60~100元(日本円で約1,000円~1,600円)です。
1万円くらいが相場の日本に比べると、かなり安くなっています。
ただし、作業員は中国人なので、日程調整や工事の立ち会いの際に中国語が必須になります。
中国向けの温水洗浄便座を購入する方法
中国向けの温水洗浄便座を買う方法は大きく2つあります。
- 日本で中国向けに作られた温水洗浄便座を買う
- 中国現地で中国向けの温水洗浄便座を買う
日本で中国向けに作られた温水洗浄便座を買う
1つは、日本で中国向けの温水洗浄便座を買う方法です。
空港の免税店や、家電量販店で中国向けの温水洗浄便座が売られているコーナーがあります。
そうした売り場で売られている温水洗浄便座は、中国の法規格に合致したものなので安心して使うことができます。
Amazonでも、以下のように海外専用モデルが売られています。
中国現地で中国向けの温水洗浄便座を買う
もう1つは、中国現地で温水洗浄便座を買う方法です。
日本の大手メーカーの商品も含めて、多くの製品や部品が中国で作られているため、日本で買うよりも安く手に入るケースもあります。
そのため、よほどの事情がない限り、中国で買うことをおすすめします。
日本向けの温水洗浄便座に変圧器を使うことはおすすめしない
日本向けの温水洗浄便座に変圧器を使うことはおすすめしません。
その理由は、以下の2つです。
- 防水規格が中国の基準に合致するように作られていない(予期せぬ事故につながる恐れがある)
- 変圧器が湿気や水気にさらされて危険
まとめ
以上、中国で温水洗浄便座を取り付ける際の注意点でした。
- 便器の横に電源コンセントがあるか確認する
- 中国の法規制に対応した温水洗浄便座にする
- 中国で要求される防水レベルの温水洗浄便座にする
- 特殊な形状の便器でないか確認する
- 日本で中国向けに作られた温水洗浄便座を買う
- 中国現地で中国向けの温水洗浄便座を買う