※「ウォシュレット」はTOTO社の登録商標です。本記事の一部で使われる「ウォシュレット」は、一般的な温水洗浄便座の意味で使用しています。
ウォシュレット(温水洗浄便座)には、通常電源が必要になります。
シャワーの水を温めたり、便座を温めたり、温風機能を使ったりするのに電気を使うためです。
しかし、世の中には電源不要の洗浄便座があるということを知っていましたか?
この記事では、電源不要の洗浄便座とはどういうものなのか?用途やメリット・デメリットについて、トイレ・便座を15年以上開発しているプロが解説していきます。
電源不要の洗浄便座とは
電源不要の洗浄便座とは、文字通り電源コンセントとを必要としない洗浄便座で、水道管に接続するだけで使えるものです。
例えば、Amazonだと以下の商品がトップセラーになっています。
日本ではあまり販売されていませんが、東南アジアでは広く普及しています。
特にインドネシアでは、ショッピングモールの公共トイレにも電源不要の洗浄便座が普及しています。
インドネシアも最近ウォシュレットが普及しはじめているみたい!!
ノズルを捻ると日本のウォシュレットと機能はなんら変わりなく使えるからホントウォシュレットないとトイレ無理な人はインドネシアも今後大丈夫では(まだ全体ではない) pic.twitter.com/vdayUOcz88— ミスタァ (@Misterillust) September 14, 2019
便座と一体になったタイプではなく、既存の便器と便座の間に挟み込むタイプもあります。
電源不要の洗浄便座の仕組み
電源不要の洗浄便座は、水だけで動くようになっています。
例えば、こちらの商品を見てましょう。

中身を開けるとこのようになっています。

主には、便座と便フタを静かに閉めるためのダンパー、シャワー洗浄のためのノズル、水を止めたり通したりするためのバルブです。
▼電源不要タイプの部品▼

電気式の温水洗浄便座が、以下のように多数の電気部品に囲まれているのとは対照的であることがわかります。
▼電源タイプの部品▼

電源不要の洗浄便座の使い方
使い方はとてもシンプルです。
便座の横についているスイッチを回すと、水道管から供給された水の水圧でノズルが押し出されて、局部を洗浄してくれます。

ノズルは通常2本ついています。

電気式の温水洗浄便座だと、ノズルが1本でも電気モーターで位置を調整できますが、電源不要のタイプは、細かい調整ができないので、おしり用とビデ用のノズルがそれぞれ独立しています。
先ほどのスイッチをある方向に回すとおしり洗浄ができ、逆方向に回すとビデ洗浄ができるようになっています。
電源不要の洗浄便座:メリット・デメリット
電源不要の洗浄便座と、電気式の温水洗浄便座を比較したメリット・デメリットです。
メリット1:水道にさえ接続できれば使える
文字通り電源不要なので、水道にさえ接続できれば使えます。
「電気を通すのが難しい場所でもおしりを洗いたい!」というときに使えるのが魅力です。
メリット2:電気式に比べて安価
先ほども書いたように、電気式の温水洗浄便座に比べると、電源不要の洗浄便座は構造が極めて単純です。
構造が単純で、部品が少ないということは、それだけ安価に買えるということです。
先ほど紹介したAmazonのベストセラーだと、値段が10,000円を切っています。
電気式の温水洗浄便座だと、どれだけ安くても15,000円はするので、電源不要のタイプがどれだけ安いかがわかるかと思います。
メリット3:故障のリスクが低い
部品が少なくて、構造が単純ということは、それだけ故障のリスクも少なくなります。
電気式の温水洗浄便座の故障には、電気部品に起因するものも多いので、電気部品がない電源不要のタイプだと、その分だけ故障する部品が少ないことを意味します。
デメリット1:シャワーと便座が温かくない
電気を使わないので、シャワーも便座も温かくなりません。
夏場は問題ないですが、冬場に使うのは辛いと感じる方もいるかもしれません。
デメリット2:細かい付加機能がついていない
電気式の温水洗浄便座には、温風乾燥機能や脱臭機能など様々な付加機能があります。
関連記事:ウォシュレットの機能【機能別の価格相場と合わせて解説】
付加機能のほとんどは電気によって動くものなので、電源不要の洗浄便座には搭載できないものばかりです。
そのため、電源不要のタイプは、局部を水で洗えさえればよいという方に向けた商品になっています。
電源不要の洗浄便座:用途・おすすめの人
以上のメリット、デメリットを踏まえて、電源不要の洗浄便座の用途・おすすめの人は主に2種類あります。
電気が使えないトイレで使う

トイレの設計上、どうしても電源が使えないときがあります。
代表的な例が、古いタイプのユニットバスです。
こうした場所では、洗浄機能のない便座が使われますが、「どうしても洗浄機能を使いたい」ときには、電源不要タイプを設置することになります。
海外のトイレで使う

海外だと、トイレの横に電源がない家も多くあります。
電源工事をするとお金も手間もかかるので、手っ取り早く洗浄機能を使いという方は、電源不要タイプを選ぶのがよいでしょう。
また、国ごとに規格が様々なので、日本の電気式の温水洗浄便座がそのまま使えない国も多くあります。
そうした国でも、電源不要のタイプは1つの選択肢になるでしょう。
なお、Amazonで購入した商品は海外にも届けられるので、Amazonで買って届けてもらうのも一案です。
電源不要の洗浄便座:取り付け方法
電源不要の洗浄便座の取り付け方法は、基本的に電気式の温水洗浄便座の取付方法と変わりありません。
電源コンセントとアースの接続が不要になるくらいです。
工具は、プラスドライバー、マイナスドライバー、モンキレンチがあれば対応可能です。

既設の便座を外したら、元栓に分岐栓(水道をタンク側と便座側に分岐させる栓)を取り付け、便座固定用の部品を取り付け、給水用のホースを接続するだけです。

詳細は、各メーカーの製品に同梱されている取付手順をご覧ください。
まとめ
電源不要の洗浄便座についての解説でした。
- 電源不要の洗浄便座とは、電源がなくても局部を洗浄できる便座のこと。
- 便座についているスイッチを回すとシャワーが出るというシンプルな構造になっている。
- シンプルなので、安価、故障しにくいというメリットがあるが、温かいシャワーや便座が使えない、細かい付加機能がないというデメリットがある。
- 電源を設置できないトイレや、海外のトイレで活躍する。Amazonなら、海外にも発送できるので、Amazonで買って取り付けるのもあり。
- 取付には、プラスドライバー、マイナスドライバー、モンキレンチが必要で、手順は電気式の温水洗浄便座とほぼ同じ。
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