便器から水漏れしている!
便器から水漏れしていると慌ててしまいがちですが、水漏れの原因によって対処方法が異なるので、冷静な対応が必要になります。
この記事では、便器設計経験があり業界歴15年以上のプロが、主な便器の水漏れ原因とその対処方法について解説していきます。
水漏れが確認できたら、原因が明確になるまで便器の使用をやめましょう。
水漏れの場所や度合いによっては、便器を流すことで水漏れの被害が拡大して、床下への浸水や、階下への漏水につながる可能性があるからです。
便器から水漏れする原因
便器から水漏れする原因を考えるために、便器の断面を見てましょう。
以下の写真は便器を真ん中から半分に切った画像です。
便器には、タンクから給水があり便器内の汚物を流した後は、便器の排水路を通って排水管に流れていく構造になっています。

この中で、便器の漏水が疑われる現象は、大きく4つあります。

- タンクとの接続不良
- 便器の亀裂・ひび割れ
- 排水管との接続不良
- 便器裏の結露
便器からの水漏れ原因別の対応方法
それぞれ、詳細と原因別の対応方法を見ていきましょう。
原因1:タンクとの接続不良
タンクと便器は、ゴムパッキンなどによって密閉されていて、タンクから流れる水が漏れないようになっています。
何らかの原因で、この密閉部が破壊されることによって漏水が起きることがあります。
タンクとの接続不良によって水漏れが起きる場合、便器の外側に水が漏れていくのが特徴です。
もし、ゴムパッキンがきちんと接続されていなくて水漏れする場合、タンクを一度取り外して接続し直すことで水漏れを解消できます。
ゴムパッキンが劣化して水漏れしている場合は、ゴムパッキンを交換する必要があります。(タンクと便器の密結部を塞ぐことから、密結パッキンと呼ばれています)
原因2:便器の亀裂
便器内部に亀裂が入ることで水漏れすることもあります。

便器は耐久性に優れた陶器で作られているので、よほどのことがなければひび割れは起きませんが、固いものを落とす、または当てるなどして衝撃を与えたり、温かいお湯を便器に注いだりすることで、ひび割れを起こすことがあります。
便器に亀裂があると、亀裂が入ったところから水が漏れ出し、便器の下に水が落ちていきます。
しばらくすると、便器の床面から少しずつ漏れ出すようになってきて、水漏れに気づきます。
便器の亀裂は修復できないので、亀裂による水漏れが起きた場合は便器を丸ごと交換する必要があります。
原因3:排水管との接続不良
排水管との接続部分は、シール材で密閉されていますが、シール材によって十分に密閉されていないと水漏れが起こることがあります。

排水管との接続部分からの水漏れの場合も、便器の床面から水が少しずつ漏れ出してきて、水漏れに気づきます。
排水管との接続部分には耐久性に優れた強力なシール材を使うので、長年使っているうちに劣化することは稀です。
したがって、排水管との接続不良はほとんどが便器の設置直後に起こります。
対応するには、便器を1度取り外して、シール材を正しく設置した上で便器を設置する必要があります。
原因4:便器裏の結露
便器の裏側が結露することによって水漏れが発生することもあります。
結露は、湿度および外気温と便器に溜まった水の温度の関係によって発生します。
- 結露が発生しやすい条件:湿度が高く、外気温と便器に溜まった水の温度の差が大きいとき
- 結露が発生しにくい条件:湿度が低く、外気温と便器に溜まった水の温度の差が小さいとき
一般的に便器の場合、梅雨時を始めとした夏場の湿度の高いときか、冬場でもトイレに暖房を入れていると、水温と気温の差が大きくなり結露が発生しやすくなります。
こうした結露を防ぐために、家庭用で使われている便器の多くには、封水面の裏側に防露材と呼ばれるものがついています。

防露材があることで、外気が封水面の裏側(温度が低いところ)に触れるのを防ぎ、結露を抑制できるようになっています。
もし、使っている便器の結露がひどいようであれば、こうした防露材のついた便器に取り替える方法もあります。
しかし、湿度と温度条件によっては、防露便器であっても結露を完全に防げずに、結露を起こしてしまい、結露水が床から漏れ出してくることがあります。

結露を防止する性能に関しては、結露限界図を公表しているメーカーもあります。(参考:TOTOの結露限界図)
結露限界を超えた範囲で、結露を防ぐのは難しいので、結露を起こさないようにするにはトイレ内の湿度と気温に配慮をするほかありません。
水漏れと勘違いしやすい尿垂れ
水漏れと勘違いしやすい現象として、尿垂れがあります。
尿垂れとは、文字通り便器から尿がこぼれて垂れてしまうことです。
便器と便座の間にはこのように隙間がありますが、座って用を足したときに、この隙間から尿が飛び出してしまうことがあります。

飛び出した尿が便器を伝って下に落ちることで、便器の床面が濡れてしまうことがあるのです。
尿の飛び出し方によっては、便器の前方まで濡れることがあります。

この尿が垂れる現象を水漏れと勘違いしてしまうことがあるので、注意が必要です。
尿が垂れて漏水のように見えている場合は、用を足すときに尿が垂れないように制御しましょう。
トイレの床を貼り替えるケースと平均費用
一時的な漏水によって床が濡れただけであれば、拭けば問題ありません。
しかし、大量に漏水した場合や、亀裂や結露によって少量の漏水が長く続いた場合は、放置しておくと床材がカビたり、腐ったりすることがあります。
そうした場合、床の貼り替えを検討する必要があります。
床の貼り替えを業者にお願いする場合、費用相場は2~5万円程度です。
修理の依頼は修理専門業者に
トイレの床から水漏れが発生したときは、他のトイレの水漏れと比べても、どれも非常やっかいなトラブルです。
軽度のひび割れなど、自分で補修する人もいますが、根本的な解決にはなりません。
そのままにせず、なるべく早くめに、トイレ修理の専門業者にお願いしましょう。
まとめ
便器からの水漏れに関する解説でした。
- 便器からの水漏れで考えられる原因は、タンクとの接続不良、便器の亀裂・ひび割れ、排水管との接続不良、便器裏の結露などがある。
- タンクとの接続不良は、接続パッキンがうまく設置されていなかったり、劣化していたりすることによって引き起こされる。この場合、タンクを外してつけ直す作業が必要になる。
- 便器の亀裂・ひび割れは、固いものを落とす・当てるなどしたり、温かいお湯を注ぐなどして引き起こされる。この場合、便器を丸ごと交換する必要がある。
- 排水管との接続不良は、排水管のシール材がうまく設置されていなくて引き起こされる。この場合、便器を取り外して再度設置し直す必要がある。
- 便器裏の結露は、湿度、温度の条件によって引き起こされる。便器メーカーは基本的な結露対策はしているが、その限界を超えている場合はトイレの湿度や温度を調整する必要がある。
- 便器からの尿垂れを水漏れと間違えることがあるので、注意が必要である。
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