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豆知識

トイレのタンクにペットボトルはダメ【想定される3つの問題】

タンクにペットボトルを入れてはダメ

タンクにペットボトルを入れて、節水しようと思っているんだけど。。。

このような声をときどき聞きますが、結論から言うと絶対にダメです。

タンクにペットボトルを入れてはダメな理由
  • 便器がつまってしまうから
  • 便器を流せなくなってしまうから
  • 水が止まらなってしまうから

この記事では、タンクの仕組み、ペットボトルを入れることによるデメリットなどを解説していきます。

トイレのタンクから水が流れる仕組み

トイレのタンクは、外から見るとただ水を溜まるだけの箱のようにも見えます。

トイレのタンクの外観

しかし、中を見てみると、多数の部品が所狭しと入っています。

トイレのタンクの中身の様子

主なパーツは、以下の3つです。

  • 便器を洗浄するときにレバーハンドルの軸
  • レバーハンドルと鎖を通じて繋がっている排水弁(タンクの水を便器に供給するための弁)
  • タンクに水を溜めるための給水弁

これらの部品が、限られたスペースの中に微妙なバランスで配置されているのです。

実際に、タンクの水を流したときの様子を動画にしているので、ご覧ください。

様々な部品が微妙な動きをしながら、排水と給水をしていることがわかると思います。

タンクにペットボトルを入れることで起きる可能性のある問題

このように絶妙なバランスで部品が配置されているタンクの中にペットボトルを入れると何が起きるのでしょうか?

トイレメーカー各社が所属するレストルーム工業会では、以下のようにアナウンスされています。

タンクの中には何も入れないでください。
タンクの容量は、便器に応じて必要な水量として設計されています。この水量が足りないと、便器の洗浄が十分できなかったり、便器や排水管内で汚物が詰まり、汚水があふれて家財などをぬらす財産損害発生のおそれがあります。
また、タンク内の機器と接触したり、動作に干渉し、水漏れ・止水不良などを起こす原因になることも考えられます。
節水をご希望される場合は、あらかじめ少ない水量で流せるように設計された節水便器をご利用ください。

レストルーム工業会ホームページより引用

では、具体的にどのようなことが想定されるのか?

タンクにペットボトルを入れると、以下3つのことが問題として想定されます。

タンクにペットボトル:想定される問題
  • 便器がつまってしまう
  • 便器を流せなくなる
  • 水が止まらなくなる

詳細を解説していきます。

便器がつまってしまう

便器に流す水の量は、便器を設計するときに決められています。

ペットボトルを入れて節水するということは、その決められた水の量よりも少ない水を流すことになるので、当然便器からトイレットペーパーや汚物が流れないという事態にもなり得ます。

上の写真を見てもらうとわかるように、タンクの中に入れられるペットボトルの容量には限りがあります。

せいぜい500mLで、多くても1Lが限界ではないでしょうか。

つまり、節水できても1L程度が限界だということです。

1Lあたりの水道料金は、0.1円なので(出典:仙台市水道局ホームページ)なので、1日20回使うとして年間で7,300回なので、年間で節約できる水道料金は730円です。

一方でトイレがつまったときに、専門業者に解決をお願いすると8,000円程度はかかります

せっかく節水できたとしても、1回でもトイレをつまらせると、11年分の節約金額が一瞬で消えてなくなってしまうのです。

便器を流せなくなる

便器を流せなくなることも想定されます。

ペットボトルがハンドルの軸や鎖に干渉すると、ハンドルを正常に回せなくなってしまいます。

タンクの部品とペットボトルの干渉によるトラブル

水が止まらなくなる

水が止まらなくなることもあり得ます。

ペットボトルが給水弁に引っかかると、給水弁を閉めることができずに水がタンクに供給され続けます。

そうすると、タンクから溢れた水が便器の中に流れ出して止まらなくなるのです。(タンクから溢れた水は、便器の外ではなく便器の中に流れる設計になっているので、床を濡らす心配はありません。)

また、ペットボトルが排水弁に引っかかると、タンクの中に水が便器に流れだしていきます。

水が溜まらないと、給水弁も開いたままになるので、やはり便器に流れる水が止まらなくなります。

タンクの部品とペットボトルの干渉によるトラブル

節水が進んでいる最近の便器

そもそも節水目的であれば、トイレを買い替える方が合理的かもしれません。

近年は、トイレの節水も進んでおり、1990年代の中盤に比べると1回の洗浄で必要となる水量は最小で1/3以下まで減っています。(※大洗浄の場合)

実際に日本におけるトイレの節水の歴史をまとめてみました。

日本のトイレの節水の歴史

1990年代中盤までは、1回の洗浄に必要な水量は13Lでしたが、2000年代序盤に発売されたトイレは8Lが主流になり、2000年代中盤には6L、2010年代には4Lにまで削減できています。

つまり、昔と比べると2Lのペットボトルに換算して4.5本分も節水できているのです。

たとえば、こちらのトイレは最新の4Lには及びませんが、1回の洗浄が4.8L(昔のトイレに比べて2Lペットボトル4本分の節水)でありながら、最もお手頃な商品になっています。

先ほども書いたように、トイレのタンクにペットボトルを入れて節水できる量は、せいぜい1Lくらいが限界でしょう。

それに比べると最近のトイレでは、ペットボトル4~4.5本分の節水をトイレメーカーが保証してくれているのです。

節水に関心が高いのであれば、わざわざ故障のリスクがあるペットボトルをタンクに入れるよりも、便器を買い替えた方がよいというわけです。

まとめ

以上、トイレのタンクにペットボトルを入れてはいけない理由でした。

タンクにペットボトル:想定される問題
  • 便器がつまってしまう
  • 便器を流せなくなる
  • 水が止まらなくなる

トイレのタンクには複数の部品が絶妙なバランスで配置されています。

そこに、ペットボトルを入れるとさまざまな故障を引き起こす原因となってしまうのです。

タンクにペットボトルを入れることは、トイレの業界団体である「レストルーム工業会」でも推奨していません。

トイレを大幅に節水したいのであれば、最新の節水便器の購入をおすすめします。

ABOUT ME
中山 裕司
元住宅設備メーカーのトイレ設計者で、トイレ業界に20年携わる便器・温水洗浄便座のプロです。トイレに関するご質問やお困りごとがあれば、お気軽にお問い合わせください。>>メールはこちら >>公式Lineはこちら