※「ウォシュレット」はTOTO社の登録商標です。本記事の一部で使われる「ウォシュレット」は、一般的な温水洗浄便座の意味で使用しています。
ウォシュレット(温水洗浄便座)を選ぶときに、以下のような疑問ありませんか?
「うちの便器に取り付けられるの?」
「温水洗浄便座はどんな種類があるの?」
「どうやって選べばよいの?」
この記事では、温水洗浄便座選びの際に浮かぶ疑問について、トイレ業界15年のプロが解説していきます。
この記事を読むことで、温水洗浄便座を選ぶときのポイントが理解できるようになります。
温水洗浄便座を選ぶときの注意点
温水洗浄便座を選ぶ際に、注意すべき点が3つあります。
- 温水洗浄便座の設置条件を確認する
- 温水洗浄便座は電化製品である
- 電源コンセントの有無を確認する
温水洗浄便座の設置条件を確認する
温水洗浄便座には設置条件があります。
たとえば、一体型の場合だと、既設の便器がどのメーカーのどの品番の便器かを確認しておくことが大事です。
既設の便器によっては、排水管の工事をせずに便器をそのまま置き換えればよいだけの場合もありますが、互換性のない便器だと排水管まで含めた工事が必要になる場合があります。
また、後付け分離型の場合でも、既設の便器のサイズが重要になります。
たとえば、日本だと以下のようにエロンゲートサイズとレギュラーサイズの便器があります。
最近の後付分離型は、どちらのサイズにも対応できるものが多いですが、モデルによってはどちらか一方にしか対応できない場合もあります。
他にも既設の便器の種類や、トイレ空間のスペースによっては、取り付けできない場合もあるので、候補となる商品の取り付け条件を注意して見るようにしましょう。
さらに詳しく⇒ 温水洗浄便座を後付けできないケースは?
温水洗浄便座は電化製品である
陶器でできている便器は、10年、15年使っても十分な耐久性がありますが、温水洗浄便座は電気で動く電化製品です。
そのため、陶器部分に比べると寿命が短いことに注意が必要です。
一般的には7年~10年くらいが点検・交換の目安です。
トイレで使っていると、動く限りずっと使い続けてしまいがちですが、長年使ったことによる不具合で大きな事故につながる可能性があるのです。
実際にレストルーム工業会でも、長期使用時の注意喚起がなされています。(参考記事:温水洗浄便座の安全に関して トイレナビ)
温水洗浄便座は、トイレの一部ではなく、電化製品だということを認識した上で購入するようにしましょう。
なお、温水洗浄便座でよくある故障については、以下の記事に書いていますので、あわせてご覧ください。
電源コンセントの有無を確認する
電化製品である温水洗浄便座には、電源コンセントが必須になります。
最近のトイレには、ほぼ電源コンセントが完備されていますが、昔のトイレだと電源コンセントがない場合があります。
その際は、電源工事が必要になります。
電源工事にかかる費用の目安は、約20,000円~50,000円です。
うちは、トイレの構造上、電源工事が難しいだよな。。。
そんな方には、電源不要タイプの洗浄便座を選択するのも一案です。(ただし、温水機能や暖房便座機能はついていません)
温水洗浄便座を選ぶときの6つのポイント
温水洗浄便座を選ぶときのポイントは、大きく6つあります。
- 価格
- 一体型と後付け分離型
- 瞬間式と貯湯式
- リモコンタイプと袖タイプ
- 搭載されている機能
- 色
※貯湯式の読み方は「ちょとうしき」です。
価格
価格は基本的に機能の豊富さと比例するので、多くの機能がついているモデルを選ぶと価格が高くなり、少ない機能がついているモデルを選ぶと価格が安くなります。
安いものだと1万円台から購入できますし、高いものだと6~7万円くらいするものもあります。
ただし、安いからといって粗悪なわけではないですし、機能が少ないといっても、シャワー洗浄や暖房便座の機能はついているので、十分に温水洗浄便座として機能します。
価格の安い温水洗浄便座のおすすめを以下の記事にまとめているので、あわせてご覧ください。
さらに詳しく⇒ 価格の安い温水洗浄便座おすすめ6選【1万円~2万円前半で購入可能】
一体型と後付け分離型
一体型とは、便座と便器で機能やデザインが一体になっているタイプのことで、後付け分離型とは、便座単独で交換できるタイプのことです。
▼▼比較(メリット・デメリット)▼▼
タイプ | 一体型 | 後付け分離型 |
特徴 | 便座と便器で機能やデザインが一体になっているタイプ | 便座単独で交換できるタイプ |
写真 | ||
見た目 | すっきりしたデザインになる
継ぎ目が少ないので掃除しやすい |
便器は古いまま使うことになる |
機能 | 一般的に機能が豊富で、便器も最新の節水・防汚機能を選べる | ホースが乱雑な見た目になる |
価格 | 高い(20万円~、30万円以上するものもある) | 安い(最安価だと1.5万円から) |
故障時 | 将来、洗浄便座部分だけを交換できずに便器ごと交換になる可能性がある(専門業者でないと交換が難しい) | 便座部分だけを手軽に交換できる(自分でも交換可能) |
価格は搭載されている機能などによって異なりますが、工事費抜きで一体型だと150,000~250,000円くらい、分離型だと15,000~70,000円くらいが目安です。
工事費は、分離型だと10,000円~15,000円くらいが相場ですが、一体型だと便器ごと取り替える必要があるので30,000円以上が相場です。
便器と合わせて最新機能に一新したい方には一体型を、温水洗浄便座の機能だけをアップデートできればよいと思う方には分離型をおすすめします。
さらに詳しく⇒ 温水洗浄便座一体型vs後付分離型【メリット・デメリット比較】
瞬間式と貯湯式
瞬間式とは、水を高い熱量のヒーターで瞬間的に加熱して、温水を供給するタイプで、貯湯式とは、水を一旦タンクの中に貯めて、タンク内のヒーターで水を加熱して、温水を供給するタイプです。
▼▼比較(メリット・デメリット)▼▼
タイプ | 瞬間式 | 貯湯式 |
構造 | ||
特徴 | 水道水を瞬間的に加熱するタイプ | 水道水を一度タンクに貯めてから加熱するタイプ |
温水の持続時間 | 連続してお湯を供給可能 | お湯が途中で切れてしまう(30~40秒くらいで切れる) |
シャワーの湯量 | あまり大きくできない(最大で0.5L/分くらい) | 大きくできる(1.0L/分以上のモデルもある) |
省エネ性能 | 優れている(貯湯式に比べて、電気代を1,500~2,000円/年程度節約可能) | 瞬間式に比べて劣っている(お湯を保温するのに、電力がかかるため) |
デザイン | 薄くて格好良いデザインが多い | ボリューム感のあるデザインが多い |
価格 | 高い | 安い(最安価で15,000円くらい) |
その他機能 | 機能が充実しているモデルが多い | シンプルな基本機能だけのものが多い |
瞬間式の方が、多機能で高価格のものが多く、貯湯式の方が単機能で低価格のものが多い傾向にあります。
湯切れの心配なくシャワーを使いたい方には瞬間式を、たっぷりのお湯で洗いたい方には貯湯式をおすすめします。
さらに詳しく⇒ 温水洗浄便座【瞬間式vs貯湯式】メリット・デメリット比較
リモコンタイプと袖タイプ
リモコンタイプとは、壁に取り付けたリモコンのボタンで操作するタイプで、袖タイプとは便座本体の袖のボタンで操作をするタイプです。
▼▼比較(メリット・デメリット)▼▼
タイプ | リモコンタイプ | 袖タイプ |
例 | ||
特徴 | 壁につけたリモコンのボタンで操作する | 本体横の袖にあるボタンで操作する |
設置 | 横にスペースがなくても設置可能
リモコンホルダーを壁に設置する必要がある |
便器の横にスペースがないと設置できない(一般的なトイレでは問題ならない) |
見た目 | 本体の形状がすっきり見えて、掃除もしやすくなる | 袖の操作部分が出っ張ってしまう |
電池 | リモコンの電池を交換する必要がある | リモコンのように電池切れの心配がない |
価格 | 袖操作タイプより高い | リモコンタイプより安い |
他の搭載機能が同じであると前提だと、リモコンタイプの価格は袖タイプに比べて約5,000円~10,000円程度高くなっています。
さらに詳しく⇒ 温水洗浄便座【リモコンvs袖操作】メリット・デメリット比較
搭載されている機能
温水洗浄便座には、様々な機能がありますが、一般的に機能が多いほど値段が高くなる傾向にあります。
各メーカーが販売している商品の中で、主な機能は以下のとおりです。
■価格に関わらず共通している基本機能
機能 | 特徴 |
シャワー洗浄 |
おしりを洗うためのおしり洗浄機能と、女性の局部を洗うためのビデ洗浄機能。値段の高いモデルの中には、多彩なシャワー洗浄のバリエーションを持つものがある。 |
暖房便座機能 |
便座面が暖かくなる機能。 |
抗菌機能 | 菌の増殖を抑制する加工のことで、主には、便座、リモコン、ノズルなど、人が触れる箇所に抗菌加工されている。 |
ノズル掃除機能 |
掃除のためにノズルが出てくる機能。 |
節電機能 | 電力消費をおさえるための機能。使っていないときに自動で温度を下げる機能や、ボタンを押すことで一定の間、暖房便座やタンクへの電源供給を切ってしまう機能などがある。 |
■ベーシックなオプション機能
機能 | 特徴 |
脱臭機能 |
脱臭用のファンが便器内の臭いを吸い込み、活性炭などのフィルターを通して脱臭する機能。脱臭機能あり・なしの価格差は、実勢価格ベースで約3,000円~4,000円程度。 |
温風機能 |
温水洗浄の後に局部を温風で乾かす機能。乾燥機能あり・なしの価格差は、実勢価格ベースで約8,000円~12,000円程度。 |
■高付加価値のオプション機能
機能 | 特徴 |
自動開閉機能 |
人が便座の前に立つと、センサーが人を検知して、自動で便フタや便座が開く機能。自動開閉あり・なしの価格差は、実勢価格ベースで約20,000円~30,000円程度。 |
自動洗浄機能 |
人が用を足した後に立ち上がると便器を自動で洗浄してくれる機能。自動洗浄あり・なしの価格差は、実勢価格ベースで約10,000円~15,000円程度。 |
夜間ライト機能 |
便器に必要最小限の明かりを灯すことで、トイレの電気をつけなくても用を足せるようにするための機能。一般的には自動開閉機能がついているものに搭載されている機能。 |
さらに詳しく⇒ 温水洗浄便座の機能【機能別の価格相場と合わせて解説】
色
色も考えるべきポイントです。
2000年以降、白が便器のカラーにおけるシェアを急速に伸ばし、現在では販売されている便器の80%が白です。
ところが、2000年以前は便器といえばアイボリーなどのベージュ系の色が主流でした。
主要4社のカラーバリエーションを見ると、白系、ベージュ系が多く、ピンクやブルーを品揃えしているメーカーもあります。
TOTOウォシュレット | #NW1:ホワイト #SC1:パステルアイボリー #SR2:パステルピンク(注文2週間) #NG2:ホワイトグレー(注文2週間) |
LIXILシャワートイレ | BW1:ピュアホワイト BN8:オフホワイト LR8:ピンク(注文1週間) BB7:ブルーグレー(注文1週間) |
Panasonicビューティートワレ | -WS:ホワイト -CP:パステルアイボリー -P:パステルピンク |
東芝クリーンウォッシュ | パステルアイボリー |
※2022年現在、モデルによっては選択できない色があります
便器と温水洗浄便座を両方交換する場合は何を選んでもよいですが、温水洗浄便座だけを取り替える場合は、便器に合った色を選択するのが基本になります。
とはいえ、単に使用するだけなら色が異なっても問題はないので、好みと取付の緊急性に合わせて色を選択するようにしましょう。
さらに詳しく⇒ 温水洗浄便座にはどんな色がある?【色の選び方】
まとめ
- 温水洗浄便座の設置条件を確認する
- 温水洗浄便座は電化製品である
- 電源コンセントの有無を確認する
- 価格
- 一体型と後付け分離型
- 瞬間式と貯湯式
- リモコンタイプと袖タイプ
- 搭載されている機能
- 色